できることがあるのなら
記事一覧へ公開日: 2020/06/05
プロ野球の開幕が決まり、NBAも再開プランが承認され、歌舞伎町には訪日観光客こそいないものの以前と同じように人があふれ、再び新規感染者が20を数えようとも、コロナ? もういいっしょと、そんなことより経済回さなきゃ死んじゃうでしょと、そんな雰囲気がぷんぷんと漂うなか、コロナ以前も経済活動になんてほとんど参加せず、誰かのコップからあふれ落ちる水だけをすすって生きてきた僕は、僕にできる貢献はナニかと考えたすえ、換気のために開けっ放しになっていた自粛明けのパチンコ屋に飛び込んだ。
いつもなら平日だろうが7割程度の稼働をほこる人気店も、この日、14時の稼働は3割5分。ぐるっと店内をまわってみても、明らかに稼働があるのは凱旋くらいのものだ。だったら、いつも3割5分くらいの稼働だったあの店はどうなっているのだろう。ここが変わらず3割5分の稼働であったなら、図らずも人気店とのギャップを一気に詰められたわけで、勢力図を塗り替える大チャンスなんじゃないかと、そんなことを考え、少し期待をしながら3割5分店をチェックしてみたら、その稼働は1割すらも切っていた。
1台飛ばしに電源を入れて隣の客との距離を保ってみたり、入り口で検温や消毒を実施したりと、やれる対策をしてはいるが、検温を見るや否や入店をヤメて去っていく人を何人も見かけた。
ニューノーマルなどと気持ちの悪い横文字で言われてもピンとこないが、邪魔くさいものは邪魔くさい。要するに、我慢しながらもソレに慣れるのを待つしかないわけだが、人間というのはエラいもので、その状態に長くおかれたら、自然と慣れる生き物でもある。
昼めしを食べるために外出しても、そこにパチンコ屋があればとりあえず店に入り、ほとんど無意識化でサンドにお金を吸い込ませていた僕がフィリピンに移り住むとき、パチスロのない国になんて住めないでしょと言われたことがあった。たしかに僕もそう思ったが、住んでみればなんてことはない。物理的に打てないならどうしようもないわけで、1ヵ月もすればパチンコ屋に通っていた習慣はすっかりなくなり、平気になった。
約2ヵ月の休業期間を経て、習慣のなくなってしまった打ち手がホールに戻る日はくるのだろうか。戻ったとして、以前の来店ペースにまで回復するのだろうか。それは、メーカーが出す新台だったり、業界メディアにかかわる僕たちの役割だったり、そういったところにもよるのだろうが、この稼働状況でパチンコ屋が玉を出すのは限界がある。店内を2周して、僕は打たずに店を出た。
メディアだって、ホールだって、ユーザーだって。ミミズだってオケラだってアメンボだって。みんなみんな大変なときに、ナニをするのが正解なのだろう。正解があるのかすらもわからないけれど、自分のやりたいこと。やるべきことを相談した結果、NPO法人セブンスピリットのチャリティTシャツを製作、販売することになりました。
宣伝かよ。はい、宣伝です。僕が、僕の周りにいる人たちに向けて、いまナニができるのかを考えました。あなたや、あなたの周りの人たちのために僕ができることがあるのなら、また教えてください。
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