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諸積ゲンズブール

トルネコの大冒険

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公開日: 2018/04/08

太っている人とそうでない人では体感温度が違うといいます。
普段は邪魔なだけの脂肪も寒さの前では鎧となり、冷気を通さず、熱を外部に逃がさない働きをしているのでしょうか。

 

ここ数日、日本列島が季節外れの寒気に襲われていることは周知の通り。このタイミングで一週間ほど前から家に帰れていない僕は、まさか4月上旬にこんな気温になるとは微塵も思わず、薄着で寒さに耐える毎日を過ごしています。

 

先日も、薄手のジャケットにTシャツという格好だったにもかかわらず、朝の気温は無情にも一桁台。けどまぁ、ホテルからホールまでの移動時間は一時間ほどありましたから、クルマの中で温まれるだろうし、着く頃には気温も多少は上がっているだろうと思っていたんです。

 

ところが、その日のアテンドさんがそれはまぁ恰幅の良い、例えるならば武器商人トルネコのような体型でして。
車内に乗り込んだ瞬間、これまで暖房をつけていたとは到底思えないヒヤリとした空間に嫌な予感がしたわけですが、案の定、乗り込んだあとも暖房をつける気配はなく、それどころか運転中に窓を開けやがるではありませんか。

 

顔見知りのデブに対してであれば、何の躊躇いもなく寒いよと、キミの温度に合わせんじゃないよと冗談まじりに言えるのですが、あいにくトルネコとは初対面でしたから、そんなことを言えるはずもありません。
その後も、昔、伊藤家の食卓で運転席の空気は対角線上にある後部座席に流れると教わった通り、冷気はガンガン僕の方に流れてきまして、車内にいるというのに体は冷えていく一方。
だのにトルネコときたら寒がるどころかおでこに汗を滲ませているほどで、こりゃいかんと、このままじゃこっちが身体壊すわと、数キロ走ったところでコンビニに寄ってホッカイロを4つ購入しました。

 

そんなこんなでなんとかゴールまで持ち堪えることができたわけですが、この日は日中の最高気温もそこまで上がることがなく、つまり帰りの時間も朝同様に寒く、嫌な予感がしたと思ったら案の定またしても窓を開けやがりましたので、さすがに帰りは言ってやりました。
鎧を売るか窓を閉めるか、どっちかにしてくれ、と。

 

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