パチスロ勉強中

　ボインにコスプレに顔出しNGに中出しNG、マスクマンに楽器演奏にAI女優にAV女優と演者業界はいまが花盛り。代理店という名の町工場から演者が量産される様は雨後の筍、いや、小倉の商店街を歩いていたら確実に指さされそうな衣装を着ている方が多いので雨後の竹の子族としたほうがしっくりきますが、こうしたいい塩梅のブスが楽に稼げる状況は決して悪くないというか、舟券偽造や身代わり飲酒運転、不起訴など、全部ひっくるめて面白いと思っています。

※誤解があっては困るので何度でも言います。先輩はこれまで一度も起訴されたことがありません。不起訴です。

　私もたまに現場で一緒になって挨拶したり、されたりすることがあります。演者の名前は主にフルスロで知るのでこれまでに一度もやらかしていない優等生は分かりません。私が知っているのは札付きのワルだけ。なので、そういう場合はSNSで楽器なのかボインなのかムショ帰りなのか枕なのか、失礼がないようそのあたりを一応調べるのですが、打っている間はさほど話しませんし、さして興味もありませんし、基本、現場が終わればさようならですから次の日には名前も顔も忘れています。そうならなかったのは後にも先にもギャルちゃんひとりだけです。

※札付きのワルだった頃の話に興味がある方は先輩の著書「回想列車」を読んでみてください。電子書籍もありますが獄中記ではありません。

　パチスロ勉強中と書いただけで叩かれている演者もいるようですが、いいじゃないですか。ただただ好きでやっているか、あまり好きじゃないけど仕事として成立しちゃっているからやっているか、私たちとの違いはそれだけであり、そもそも好きを仕事にできている人は世の中を見回してもほんのひと握り。というか、勉強することをすっかり忘れ、ボーナスタイプばかり打っている私みたいな汚いオジサンに比べたらかなり偉いと思いますし、むしろそのやる気、元気、ゆうき政重を真似すべきかどうかはさておき、見習うべきだとは思います。

「こないだパチスロ勉強中の演者と現場が一緒だったんですけど、その演者、負けが込んでトイレに籠城しちゃったんですよ」

　私もこれ以上は負けたくないとラスト十五分間、トイレの個室に籠城することは四年に一度くらいあります。ただ、聞くところによるとこのパチスロ勉強中演者の籠城は食事休憩のそれを遥かに上回る一時間。もしかすると『からくり』に手を出して五百万負けた可能性もあるのではないかと情報を寄せてくれた現場ディレクターに聞いたところ、あろうことかあるまいことか負け額はたったの二万、ディレクターが追加で一万貸し付けてトータル三万負けて実戦を終え「あーーーー、やっと終わった！」と嬉しそうに帰って行ったという話を聞いて思いました。最低でも五万程度の勉強代は持って行く必要があること、パチスロ勉強中であるならまずはそこをしっかり勉強したほうがいいのではないかと。

※本当にないときは先輩に借りるという手もあります。ただ、法外な利息を取られるかも知れないので私は借りませんが。